1. 我道 ~飲食の社長たち~
  2. 株式会社リン・クルー 代表取締役 林直樹氏
食を伝える「拘り」がそこにある 我道 飲食の社長たち

日本の飲食業界をリードする社長たちの「拘り」はどこにあるのか。生い立ちや人生観などのパーソナリズム視点からひも解き、人気飲食店オーナーの素顔と内面にクローズアップしていきます。企業理念やビジョンはもちろん、お客様一人ひとりに対しての想いや取り組みも知ることができるシリーズ企画です。

記事

株式会社リン・クルー 代表取締役 林直樹氏

2012/01/30

株式会社リン・クルー

代表取締役

林直樹氏

1968年4月24日生

「大切なのは、いかに酔って帰って頂くか」
料理・サービス・空間への拘り(こだわり)

プロフィール
(株)リン・クルー、代表取締役。18歳でサービス業を初めて経験し、人を楽しませることの喜びに触れる。「自分が何かを成し遂げるにはこの延長かもしれない」そんな思いを抱きながら修行の日々をおくり30歳で独立する。社名は苗字である「林」の音読み、それに仲間(クルー)をつなげたもの。現在は、多忙な業務の中、様々な都市を歩き、街を見ることで生まれる新たなアイデアの実現・拡大に向けた想いを馳せる毎日。
主な業態
和食、韓国料理、ハワイアン、スパニッシュイタリアンなど、合計11ブランドの飲食店を展開
企業HP
http://www.rincrew.co.jp
株式会社リン・クルー 代表取締役 林直樹氏の写真

ないない尽くしのスタート。

 設立当初はいろんな壁にぶち当たりました。まず資金面。お店の内装費や外装費は思った以上にかかります。でも実績がないわけだから銀行も貸してくれません。不動産も同じです。「会社設立されたばかりなんですね」とか「有限会社なんですね」とか「社長、お若いんですね」などばかり。スタートから行き詰まっていました。でも、そんなときに大手ゲーム会社が運営するレストラン事業のオペレーション業務を委託される話がありまして、コンペの結果、我々が運営させて頂くことになったのです。それほど多くの報酬はありませんでしたが、とにかくまずは実績と会社としての収入を積み上げることが大切でしたから必死でやりました。「2年後くらいには自分たちのお店を持つ」そんな夢を描きながら、経験と資金を蓄えていきました。

平成12年・冬。夜の渋谷に「かまくら」現る。

 最初の店は「和食」と決めていました。というのも、僕自身、料理は一切できないんです。やりたかったのは事業でしたから、最初から料理は料理人に任せようと思っていました。でも、そうなるとメニューや味について料理人と議論しなくてはならない。フレンチやイタリアンでは無理なんですよね。だから小さい頃から口にしてきた「和食」にしたんです。ただ、せっかくなら他とは違ったものをやりたくて。当時、すこしづつ個室系居酒屋が流行り始めた時期でしたが、僕は「何か個室にコンセプトを持たせて和食にかけ合わせられないか」と毎日考えていました。そんなときたまたまテレビを見ていたら東北地方の“かまくら”が映ったんですよ。これだ!と思いました。その時イメージしたのは店内に白い“かまくら”がいくつも並んだ個室居酒屋です。ターゲットにしたのは若いカップルで、都会の“かまくら”の中で2人の時間を楽しく過ごしてもらおうと考えました。そして、会社設立から2年が過ぎた平成12年12月、僕らは初めて自分たちのお店を立ち上げました。「オリジナルダイニングかまくら」です。
お客様の中には、個室が「せまい」なんて言われる方もいました。でも、しばらくすると「かまくら」から楽しそうな声が聞こえてくるんです。そういうカップルの大切な時間を邪魔しないように、サービスもさりげないものにするよう心がけました。

韓国料理、ハワイアン、スパニッシュイタリアン ~拡大していく「リン・クルー」~

 「かまくら渋谷店」はすぐに話題になり口コミで広がっていきました。その後、銀座・新橋・池袋・新宿・秋葉原・大宮と「かまくら」は店舗を拡大していきます。渋谷店のときはカップルをターゲットとしていましたが、現在は、その街の特色にあわせて店内にも工夫を重ねています。たとえば男性グループも多い秋葉原には、大勢のお客様がゆったり座れるような席を多数設けています。
また、平成18年には渋谷区宇多川に「もつ鍋・博多めし もつ道(みち)」をオープンさせました。このあたりから新ブランドの立ち上げが続きます。

すこしご紹介しますと……
まず、韓国料理をご提供する「韓韓市場」。韓国料理って高級かリーズナブルか二極化しているんですけど、当社は後者。韓国の屋台をイメージしています。どちらかといえば韓国料理屋さんにグループで来るのは女性のお客様のイメージがありますが、「品川グランパサージュ店」などはオフィス街にありますので、男性のお客様もご来店しやすいようにチャレンジ店として営業をしています。
平成19年には「串焼き・豆冨料理 つくね十番」をオープンさせました。「やきとり好きだけど、お店には入りづらい」そういう女性は多いんです。「つくね十番」は女性も入りやすく、かつ、食べやすい“つくね”を22種類揃えているお店です。
平成20年には「もつ鍋・ホルモン鉄板焼 博多もつ楽」をオープンさせました。前述した「もつ道」もそうですが国産牛の“生もつ”にこだわったお料理をご提供しています。
ほかにも沖縄料理を提供する「薫風(くんぷう)」、九州料理を提供する「九州ざんまい」、お好み焼き・鉄板焼きを提供する「こて吉」、カジュアルなスペインバル「Tapas Blanco(タパスブランコ)」、ハワイを満喫できるカフェ&ダイニング「Moana Kitchen Cafe(モアナ キッチン カフェ)」など、いずれもリン・クルーの思い入れと拘り(こだわり)がつまったお店ばかりです。

大切なのは、いかにしてお店のサービス・空間に『酔って』帰って頂くか。

 月並みですけど、やっぱりお客様から頂く「ありがとう」のために頑張れるんですね。大切にしているのは「いかにお客様に『酔って』帰って頂くか」だと思うんです。お酒もそうですけど、料理やサービス、雰囲気に『酔って』いただくことで、そこで交わされる仲間との会話など、お店を出るときにそのどれかが楽しい思い出としてお客様の心に残っていたら、これ以上の喜びはありません。こういった意味で『酔わせる』という言葉は、お客様の満足度を高めるためのキーワードだと思っています。
また、「いかに『酔わせる』ことができるか」にも繋がりますが、いま、リン・クルーでは「アナログ教育」と称して既存店の総点検を行っています。要はマニュアルでは気づかないものや対応できない現場の出来事に、幹部たちが直接自分の経験を伝えていく教育です。3年後には店舗数を倍に増やす計画がありますが、そのカギを握るのは人財であり、こうした教育なんだと思います。リン・クルーは同業他社と比べても離職率の低い会社だと思います。でも、単に仲良しチームというわけでもありません。ときには意見もぶつかり合いますし、教育だってマニュアル通りではなく自分の意見を交えながら伝え、教えられるほうは納得いかなければ質問もする。そういう言い合える関係だったり、何も言わなくても感じあえるのが本当の仲間だと思うんです。こうした社内のコミュニケーションがしっかりとれたとき、お客様にも気持ちの良いサービスが提供できると僕はそう考えています。
これからもお客様の「ありがとう、また来るね」のため、従業員みんなで頑張っていきます。

ページの先頭へ戻る