1. 我道 ~飲食の社長たち~
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食を伝える「拘り」がそこにある 我道 飲食の社長たち

日本の飲食業界をリードする社長たちの「拘り」はどこにあるのか。生い立ちや人生観などのパーソナリズム視点からひも解き、人気飲食店オーナーの素顔と内面にクローズアップしていきます。企業理念やビジョンはもちろん、お客様一人ひとりに対しての想いや取り組みも知ることができるシリーズ企画です。

記事

有限会社トムボーイ企画 代表取締役社長 山本重宏氏

2012/06/14

有限会社トムボーイ企画

代表取締役社長

山本重宏氏

1944年4月8日生

渋谷モヤイ像をつくった社長が展開するユニークな『トムボーイ』ワールド。

プロフィール
静岡県出身。大手建設会社に3年間勤めた後、25歳で特許関連事務所を開設。商品開発のアイデアなどを提案する一方で、学生時代から行っていた彫刻も本格的に着手する。また、発明・アイデア発掘のテレビ番組に出演し、様々な企業の商品開発に携わる「社外アイデアマン」としても活躍。発想力や経験を活かし、1975年に29歳で『トムボーイ』1号店を十条にオープン。自ら手作りしたインテリアや彫刻が話題を呼び、人気店に。渋谷の待ち合わせスポット『渋谷モヤイ像』をつくった芸術家でもある。店名の『トムボーイ』は「オテンバ娘」の意。
主な業態
『トムボーイカフェ十条店』など、都内5店舗の運営
企業HP
http://tomboy106.com/

有限会社トムボーイ企画 代表取締役社長 山本重宏氏の写真

特許や商品開発に携わった経験を活かし、「変わったお店」を開業。

 昔から、いろいろなアイデアを考えたり、モノをコツコツつくったりするのが好きで、特許も自分で取っていました。25歳で脱サラして、特許やアイデアに関わる事務所を開設。自分で考えたアイデアを試作品でつくったり、メーカーに売り込んだり、デパートや都内の大きな駅の即売コーナーなどで販売もしていました。
 一方で、発明品やアイデアを発掘・審査するテレビ番組に何度も出ました。そこで、TV局の関係者から「そんなにアイデアが浮かぶんだったら、『社外アイデアマン』になれば」と提案を受けまして。いまで言う、「シンクタンク」のような立場ですね。そして、番組を見られた方から「当社の商品を考えてくれませんか」と依頼を受けるようになったのです。29歳で飲食業を始めるまでの3年間ほど、テレビに出たり、社外アイデアマンをしたりしていました。
 飲食店をやりたいと思ったのは、人と話すのが好きだから。ですから、『トムボーイ』の1号店(十条)はオープンカウンターで、サイフォンでコーヒーを淹れる店にしました。1975年当時は、そのような業態の店は珍しかったですね。さらに、店中、私の作品だらけでしたから、独特といいますか、変わったお店だったと思います(笑)。

人気メニューの商標登録など、人がやらないことが好き。

 私が手作りした彫刻品を欲しいとおっしゃるお客さまには、ご来店ポイントなどに応じてプレゼントをしていました。手作りのテーブルを差し上げたこともあります。立地も良く、おかげさまで流行りのお店になりまして、開業2年目で十条に2号店の『トムボーイカフェ十条店』をオープン。このときに、会社も立ち上げました。
 そもそもアイデアや特許関係が好きですから、オリジナル料理などはすべて商標を取ってきました。ご好評いただいているスパゲッティのチーズ焼き『スパチー』や巨大な『モーモーパフェ』、『ラブサラダ』など、けっこう変わった名前で取っています。いまは当たり前になっちゃったので商標は取れませんけれど(笑)、煮込みハンバーグなどもかなり昔から出していました。基本的に、お客さまが喜んでくださることや、人がやらないことをやるのが好きなんですね。
 インテリアやレリーフなどは、自分たちで彫り上げています。すべて、手作りです。素材は、伊豆七島・新島の特産の「抗火石(こうがせき)」という自然石。現地から石を仕入れているうちに、新島とのお付き合いができました。そして1980年、新島の抗火石でつくったのが、渋谷駅南口の『渋谷モヤイ像』だったんです。

渋谷モヤイ像が結び付けた、渋谷進出の“縁”。

 ちょうどその頃、渋谷駅のハチ公前が、待ち合わせの人たちで飽和状態になっていました。「渋谷にもう一つデートスポットをつくりたい」という話が出てきて、『モヤイ像』をつくることになりまして。トムボーイのスタッフたち<TOMBOYアート>で、抗火石を彫り上げました。私が35歳のときのことです。
 「せっかく渋谷モヤイ像を彫ったんだから、渋谷にも店を出したい」。そう考えて、人間の身長くらいの大きさのモヤイ像を7体つくって、渋谷・円山町に渋谷1号店をオープンしました。これが、現在の『トムボーイカフェ渋谷店』です。
 しかし、渋谷に出店はしましたが、位置的にはモヤイ像にちょっと遠い場所でした。もっと近くに寄りたい――。ですが、なかなか良い場所がありませんでした。そしてようやく見つけたのが、109の目の前にある渋東シネタワーです。渋谷駅に近い最高の場所ですが、本来であれば、あれだけの物件に入るのは難しいと思います。これも、渋谷のモヤイ像を彫った縁があったからかもしれないと感謝しています。
 こうしてオープンできた『渋谷 ラウンジカフェ ダイニング TOM BOY106』の店内には、私が特許商標を取った『モヤモアイ像』があります。渋谷モヤイ像と同じ抗火石でつくった、いわばモヤイ像の兄弟ですね。

店舗毎に異なるコンセプトとこだわりの料理で、楽しんでいただきたい。

 『TOM BOY106』はインド、『十条店』はエジプト、池袋の2店舗はジャマイカとインドなど、店舗によってコンセプトが異なります。もちろん、内装はすべて手作り。そして、料理にもこだわっています。無添加のイタリア料理やインド料理など、目指しているのは「体にいいお料理」。野菜は群馬県のTOMBOY農園から直送し、店舗の衛生面にも非常に気をつけています。
 また、インド料理の『池袋 TOM BOY Indian Cafe』のコックはインド人とネパール人だけです。調合がむずかしいスパイスなど、小さい頃から食べているからこそつくれる味にこだわっています。やはり、お客さまが本当に楽しんでいただけることが一番だと思っていますので。メニューも季節に合わせた内容に変えて、女性のお客さまを中心にご好評いただいています。
 今後も、楽しんでいただける店舗コンセプトをいろいろと考えています。例えば、世界遺産なども面白いかもしれませんね。そしてこれからも、店内のレリーフやレイアウトを自分たちで考えて、つくりたいと考えています。現在は、またお客さまへのプレゼントとして小さなモヤイ像を製作中です。お店の展開とあわせて、ぜひ楽しみにしていただきたいですね。

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